こんにちは!院長の猪島です。最近、インフルエンザも流行しており、寒くなり風邪をひく患者さんも増えたことから、うちのクリニックでも咳が出ていると言って受診される患者さんがとても多いです。『風邪は万病の元』ともいいます。そこで咳や痰が出るときに、本当に単なる風邪なのかどうか、他に疾患を考える必要はないのか、ということを示したいと思います。
咳や痰が出ているので、咳止めや痰切りを処方して経過を見るという方法ももちろんあります。しかし、病院で働いていた期間が長かった私にとっては、「咳や痰は重要な体からのサイン」だと考えて肺疾患の鑑別を行います。下に大きく4つの疾患をあげます。
1、感染症
発熱を伴う場合、咳が非常に痰が絡む咳が出ている場合、胸の痛みを伴う場合は肺炎、気管支肺炎、肺結核、肺化膿症、胸膜炎など、様々な感染症を必ず考えて検査をする必要があります。胸部レントゲンだけではなかなか見つかりにくい部分に肺炎が隠れていることが多いため、胸部CT検査も合わせて行って、確実に感染症がないかどうかをきちんと検査する必要があります。
2、気管支喘息、心臓喘息
特に2週間以上続くような咳や痰は気管支喘息を考える必要があります。その際にも、必ず先に感染症が隠れていないかどうかを画像的に判断した上で、検査をする必要があります。検査は肺機能検査を2回することで診断できます。心臓喘息は、胸部レントゲンや胸部CTにてある程度判断できます。気管支喘息は、インフルエンザやコロナ感染症など風邪をひいた後や、アレルギーに起因するものなど原因は人によって異なります。大人になって突然なることがあります。
3、肺がん
先ほど、「咳は体からのサイン」と書きましたが、肺がんもまさにそうです。咳を単なる風邪だと思うだけではなく、やはり長引くとき、血痰をともなうとき、タバコを長年吸引していた方などは、肺がんかどうかはきちんと画像的に判断する必要があります。肺がんは早期肺癌になればなるほど、胸部レントゲンでは発見しにくいので、胸部レントゲンだけではなく、場合によっては胸部CTも合わせて画像的診断をしましょう。
4、気胸
咳も出るしなんだか息苦しくて胸も痛い感じがした、などという症状があるときには、気胸と言って肺が咳などが原因で破れていることがあります。これも胸部レントゲンとCTにて明らかになります。肺がどれぐらいの割合敗れているのかによって、安静だけで治る場合と外科的処置が必要な場合があります。
以上が、「長引く咳」がある時に、要注意の主な4つの疾患となります。
検査は胸部レントゲン、胸部CT、肺機能検査、血液検査となります。
受診するべきかは、呼吸器内科もしくは呼吸器科になります。治療方法が全く異なってきますので、是非きちんと診断をつけてから治療をされることをお勧めいたします。