みなさんこんばんは!急に冬らしく寒くなりました。我が家の犬たちと同様に私も暑さが苦手なので、冷たい空気を楽しんでおります。
ところで今晩はレントゲンとCTの違いについてみなさんに知っていただきたいと思います。肺は体の中でとても大きな臓器です。身体の中の臓器を視覚的に見る方法としては『放射線を使う方法』『エコーを使う方法』『磁気(MRI)を使う方法』と3つの方法があります。
肺は3つの中でもエコーとMRIではわからない臓器です。『放射線を使う方法』だけが肺を視覚化する有効な手段です。腹部の臓器や頭や骨格筋は他の方法でも見ることができます。
『放射線を使う方法』は、胸部レントゲンとCTで撮影してみるという2つの方法があります。みなさんはわからないかもしれませんが、長く呼吸器内科医をすればするほど、CTがいかに診断に有効な方法の一つであるか、ということがわかります。呼吸器内科医にとって、CTは短時間でたくさんの情報が得られるとても重要な検査です。そしてCTの陰影を読影すれば、ある程度どんな肺の疾患が考えらえるかということも推察できます。レントゲンは大きな影があるということしかわかりません。
肺癌研究室に所属していた私にとっては、肺がんの死亡率低下は悲願です。私の母も肺がんになって亡くなったことを考えると、『早期発見早期治療』がいかに大事なことかがわかります。日本での胃がんの死亡率が低下しているのは、胃カメラの普及率が上がっているからです。きっと皆さんも、胃カメラはしたことがあるけど CTを受けたことがない、という方が多いと思います。
胃カメラに比べると、体の負担も時間の負担もCTは早くて楽です。日本での保健医療費圧迫が叫ばれていますが、早く発見すればするほど高価な抗がん剤を長期にわたって使用をする必要がないため、日本の財政のためにも患者さんのためにも早期発見をするべきだと思います。
胸部レントゲンの説明を患者さんにする時に、私はいつも『レントゲンでは異常はありません」ということにしております。なぜなら、「肺に何もない」というわけではないからです。レントゲンでは大きな肺という臓器を一枚の絵に薄めてまとめたものです。みなさん、ぜひその点をご理解いただいた上で、検査を受けていただきたいと思います。
私の診察の時に、胸部レントゲンの説明を受ける時はぜひ注意して聞いてみてください!